魔女と死神の聖夜 〜TDLへ行こう〜 12月24日編
ううむ。
馬車は唸っていた。頭を抱えている彼の手に握られてるのは二枚のチケット。
うぅぅむ。
これ以上の苦渋の選択があるだろうか。
いや、ない。
――どうかしたんですか?
「…それが、親戚筋から流れて来たチケットがあるんじゃが、TDLのクリスマスチケットでのう。いくらなんでもこの年で踊るネズミやらアヒルやら見ても辛いし、明日は表の仕事が入ってるしで、誰かに譲ろうかと思っているんじゃが…同じぐらいの歳なら、知り合いもそれなりにおるんじゃがのう。渡しても喜ぶとは思えん。そこで若い、しかもカップルの知り合いと言えば…」
はぁぁああ。と大きく溜め息。
「卑弥呼とジャッカルぐらいじゃ。…」
だか…
「ありがとうございますv」
はっ!と後ろを向いた瞬間。
すぱっ。とチケットを抜き取られる。そして流れるような動作でジャッカルはパカッと携帯を開き、耳にあてる。
「もしもし私です。卑弥呼さん、明日のご予定は…」
唖然としながら「おっ、おい…!」呼びとめるが、あまりにその声は無力。
確に元々そういう考えで、今日の仕事のパートナーである赤屍に渡そうと持ってきたチケットである。
だがしかし。しかし。
あの最強最悪殺人鬼が聖誕日に夢の国。汚れの無い子供と若く健全なカップルで溢れかえる愛と友情のキラキラワールドにDrジャッカル。
罰当たり100乗。
それでも足りない。
いや、もしかしたら「運び屋最凶カップル。ランドで乱闘!?」「夢の国聖夜に降った謎の集団死体。残されたのは銀のメス」なんてことも…
祟られる。あの浦安にこんな男を行かせたのが自分だなんて、夢の国の住人に絶対祟られる。
馬車は不気味な笑いで夢枕にたつネズミカップルを思って身震いした。怖い。
やっぱりダフ屋に売っとくべきだった…!
だが大丈夫。卑弥呼なら断る。供に同業者としてこの男の人ならざる奇怪な行動に苦労を重ねてきたレディポイズンだ。とうぜ…
「ええ。では明日7時半に駅でv」
「何ぃぃいー!?」
卑弥呼が承諾!?あまりにショッキングな提案に頭が壊れたか・・・。
「…卑弥呼はオーケイしたが?」
「はいvこのあいだ買った服でくるようにと条件つきでしたが」
そこかぁ!?
いや、気持はわかる。こんな黒い長いコートにネクタイつきで来る男なんて、不審人物かお化けマンションの係員に間違われるだけだ(不審人物は間違いとは言わないかも知れないが)しかしそれは次善策というもの。最善策は拒否のはずだろう。何故だレディポイズン。。
ぐるぐると考えた末に、馬車は卑弥呼がまだ18だという事に気付く。裏社会に幼い頃から足を突っ込んでいた卑弥呼だTDLに行ったことがないのかもしれない。
だからって何も、ジャッカルと行かなくても。
いや…
…それが若さというものか…
殴られた訳でもないのに、馬車の目からキラリと滴が溢れた。
魔女と死神の聖夜 〜TDLへ行こう!〜 12.25 AM編
そもそも「夢と冒険のファンタジー」が謳い文句の、この場所に何故この男と来てしまったのか。
この男には「悪夢と冒険のファンタジー」がお似合いだというのに。
Drジャッカルと、サンタコスのネズミのツーショットvを眼にして魔女は激しく後悔し始めた。
一度しか来た事がなかったからって、来るんじゃなかった!
華々しくクリスマスカラーで彩られたワールドバザールには、和気藹々な家族連れと、ピンクの空気を醸し出しているカップルで溢れかえっている。
そのキラキラピュアな空間に自分と、赤屍蔵人。
――合わない・・・。
サンタコスのキャラクラー達が、自分たちを嘲笑しているようだ。
頭を抱えている卑弥呼の横では、赤屍がニコニコ笑顔で歩いている。
「・・・随分楽しそうね?」
「ええ。ここにいる方々が全員敵になってくれたらと、想像しただけでワクワクしてしまってv」
「馬鹿だった。聞いたあたしが馬鹿だった。」
・・・ああ。なんという場違い。
―スプラッシュマウンテン――
「うさぎどん、ですか。クスvうさぎなのに随分古風なお名前なのですね・・・おやおや悩みを解決するために家出ですか。人の悩みは逃げて解決するものなどありませんが、うさぎの場合はどうなのでしょうね・・・キツネどんとクマどん・・妨害者ですね。しかし気に入らない輩を罠にかけようとは迂遠な事。私なら一思いにや・・・っと、失礼ここは夢の国でしたね。わかりました不穏な言葉は控えましょうか。ですから睨まないで下さい・・・『笑いの国』・・・理想郷ということでしょうね、私の理想郷とは違いますが。私の理想は・・・クス控えましょう・・・おや罠にかけようとした者が罠にかけられてしまいましたか。よくある話だ・・・。人には、いえ人でなくても分相応というものが・・・(以下略)」
赤屍蔵人。うさぎどん実況生中継。
シュールさに耐えかねて、卑弥呼はげんなりする。
メルヘンな世界を殺伐とした世界に変える手腕は、見事としかいいようが無い。
カラカラカラ・・・。
「楽しいですね。卑弥呼さんv」
「どこがどこがどこが!?」
思わず顔を赤屍に向けるて抗議する、ポイズン。
その時。紫の空間を抜けた。
横目で卑弥呼は見た。
予想以上の高さ。
予想外にワールド・ス○ェア状態。
吹き抜ける風。腹が抜けるような感覚。
「いやあぁぁぁぁぁぁぁあああーーーーーーーーーーー!!!!!」
〜ベリーメリーホリデー〜
甘かった。まさか自分があれほど落下系が苦手だったとは・・・。
あの後の屈辱は一生忘れない。同乗していたカップルからは指をさして笑われ、子供には「さっきのすごい悲鳴の姉ちゃんだ。だっせー」と馬鹿にされ、その後のスプラッシュフォトでは・・・。
――ものすごい勢いで、赤屍に抱きついていた。
――・・・死にたい。
「大丈夫ですか。卑弥呼さん?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・たぶんね」
一発目のコースターで瀕死の状態のレディポイズンを見て、赤屍がだした提案は「じゃあ、次は穏やかなのでいきましょう」
というわけで、ぐったり卑弥呼ちゃんは、現在「小さな世界」の船の中。
小さな世界は、現在クリスマス仕様である。
照明は暗く、人形たちも各々の国の冬衣装で聖誕祭を祝っている。
「Hail the new, ye lads and lasses〜♪ Fa la la la la, la la la la〜♪」.
「クスv可愛らしい」
クリスマスソング(今はクリスマス仕様なので『柊を飾ろう』の英詩)と人形と赤屍蔵人の組み合わせも、なかなか侮れない攻撃力がある。
これがもし、通常仕様に「世界中誰だって〜みんな仲良しさ〜♪皆輪になって手を繋ごう〜♪」だったらと考えただけで花畑が見える。
「Sing we joyous all together〜♪ Fa la la, la la la, la la la〜♪」
「いやはや本当に可愛らしい人形だ。思わずあの愛らしい首は切って差し上げたくなりますねv」
・・・ああ本当に甘かった。
〜グランドサーキット・レースウェイ〜
ゴトッ。
ガコンッッ。
「・・・あんたが何で免許をとらないのか。良くわかったわ」
「・・・だから嫌だったんですよ。1人で乗るのは」
「冗談でしょう?2人乗りなんて、馬鹿っプルみたいな真似出来るわけないでじゃない!!・・・私先行ってるわよ」
「私を置いていく気ですか・・・?(恨めしげな視線)」
「仕方ないでしょう?2人で止まってたら後ろ詰まっちゃうわよ。じゃあね、出口で待ってるわ」
赤屍の恨めしいー。酷いー。薄情ー(この男だけには言われたくない)などを訴えた視線に背中を刺されながらも、卑弥呼は問題も無く、スムーズに出口に到着した。
ゴーカートの出口で待つこと20分。
赤屍の姿が見えた。
「遅かったじゃない」と声をかけようとした卑弥呼は、しかし赤屍の様子に凍りついた。
オーラが暗い。暗いというより闇色だ。瞳は絶対零度よりさらに低い冷気を宿している。
――こっこれはマズイ。マジ怒りだ、マジ怒りだ(汗)
――とうとう自分も生命の終わり・・・!?
狼狽していると、赤屍にがしりっっ!と腕をつかまれる。
今までに無い力強さで引っ張られ、ずるずると連れて行かれる。
「ちょ、ちょっと赤屍。何処に行くの・・・?」
「・・・・・・・・・」
赤屍はむすりと不機嫌な顔のまま答えない。
――とうとう、自分も墓場行きーーーーーー!?
〜スタージェット〜
「えっ?」
戸惑う声は、無視されエレベータに乗させられる。
「ちょっと・・・」
抗議しようとする声も無視され、ジェット機に搭乗させられる。
前に卑弥呼、後ろに赤屍。ちょうど自分が嫌がっていた2人乗りの格好で。
ビィーーーー。
発射音と、供に持ち上がるジェット機。
段々と上がっていく視界に映るのは、プチワールドス○ェア。
アームが上がりきった所で、後ろから伸びる腕。
止める暇を与えず、バーを思い切り下ろす赤屍。
吹き抜ける風。腹が抜けるような感覚。
Mr デジャ・ヴュ。
「いやぁああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
〜ジャンボクリスマスパレード〜
今年のクリスマスパレードは、キャラクターの巨大バルーンの上でキャラクター達が踊るというもので、そのバルーンの大きさたるや辺りの木々の高さを軽く超える。
ぬうっと大きい、ネズミやらダッグやらドッグやらが、満面の笑みで行進している。
「不気味よね・・・」
「可愛いですねv」
「・・・・・・・」
――私ってもしかして、女として枯れてるのかしら
卑弥呼は少し凹んだ。
赤屍は、卑弥呼のトゥモローランド中に響き渡る悲鳴で満足したらしい。今は機嫌よさげに、おいおいチェロスの花束かよ、ぐらいのチェロスを持って食べながらパレードを見ている。
「ほう・・・?あのグー○ィの動きはなかなか・・・!!」
「赤屍。メス出てるメス出てる」
まったくこの男。戦闘欲に関しては、見境なく欲情する。
卑弥呼が額を抑えたその時。
ぱぁぁぁん!
パレードの花火が上がった。
と同時に。
しゅん!と銀色のものが、横から放たれた。
プスっっ!!
笑顔のまま頬の方から、顔が萎んでいくネズミの彼女。
ポロポロと落ちていく踊り子たち。
『何だ?』
『おいバルーンが!』
『見ろ!!みにーの頬が崩れて!!』
卑弥呼はあんぐりと口を空けたまま、横の男を見る。
「驚いて、ついうっかり投げてしまいしたv」
ニッコリ。
『テロだーーー!!』
「アホかぁーーーーーーーーーーーーーー!!!」
卑弥呼はむんずと男の襟首を掴んで逃走した。
ああ私なんで、こんなのと付き合っているのかしら・・・(涙)
TDLへ行こう!〜魔女と死神の聖夜〜 12.25PM編
〜ホリデーナイトメアー〜
クリスマスのお化けマンションは、サンタコスの陽気なガイコツがホストとして客を持て成している。
例の鏡の前で、赤屍にとんがり帽子に長髪面長お化けの姿が重なった時は、卑弥呼は複雑な気分に陥った。
「ご存知ですか?このスケルトンは外見こそ不気味ですが、心根は優しいハロウィンの王様らしいですよ。人を見かけで判断してはいけないということですね」
「あんたがいうな」
〜ウェスタンランド〜
卑弥呼は赤屍を探している。
「おいしそうな匂いがするので、ちょっと行ってきますv」とかなんとか言って、待つこと30分。いっこうに戻って来ない。
食欲にかまけて、自分を忘れているのか。はたまた逆ナンに捕まって、また見当違いな問答をしているのか・・・。
〜ジャングルクルーズ〜
先月からディズニーバイトを始めていた卍兄弟は、並んでいる客を整備しながら見知った客を見つけた。
「兄弟あれは、レディポイズンでは?」
「ああ。しかしやけに、フードワゴンを探しているな。そんなに食意地の張った女だったのか」
「しかし、レディポイズンといえば・・・」
「・・・ああ。あの男と付き合っているらしい。」
「なんと物好きな」
「なんて恐ろしい」
「クレイジー」
「蓼喰ふ虫」
「女としての生を捨てたな・・・」
「そうですか?」
「ああ誰が考えたってそう・・・あ」
冬空の下、卍兄弟はかちーんと凍りついた。
背後から突然現れた男は、クスリと笑う。
「クス。まだ生き残りがおられたんですねぇ。嬉しいですよvちょうど良かった。楽しくないわけではありませんが、少々刺激が足りなくて退屈していた所です。――少し、遊んでもらいましょうか」
がぶり。
手にしていたスモークチキンに噛み付いて、死に神はニヤリと笑った。
〜ウェスタンランド・シューティングギャラリー〜
「ちょっと何処行ってたのよ!」
「すいません。迷子になってしまいまして」
「(あんたいくつよ・・・。)・・・なんだか随分機嫌が良いじゃない?」
「ええ。良いことをするのは気持ちがいいですからv」
「良いこと?」
「クス。それより、あれは射的ですかねぇ。やりませんか卑弥呼さん?」
〜シンデレラ城・城下〜
結局。TDLまで来てどうかと思うが、自分達には射的が一番合っていたのかも知れない。。
赤屍は射的のオリンピックで軽々優勝できる(彼が人間だと認められればの話だが)ほどの腕前であった。それを見た卑弥呼も、勝負事には燃えてしまう質なので、負けていられるかと熱中してしまった。
その結果。景品が無くなるまでやりつくし、係員からこの上なく迷惑そうに「もう、お帰りを」と景品を入れる白い袋(恐らくごみ袋)を渡されて、追い出されてしまったのだった。
ずっしりとし袋の重みを、ひしひしと背中に感じて思う。
「・・・大人げない真似したわ・・・」
「でも、楽しかったですねv」
「・・・まあね」
それは否定出来ないので頷いておく。
しかし問題なのは、この背中のメルヘンなぬいぐるみやらマグカップの処理である。
どうしたものか。このまま持ち歩くのか、いっそ返してきたらどうかと考えたその時。
後ろからぬぅと大きな影が落ちた。
振り向いて声をあげる。
「おやおや」
「なっ、なんで!?」
振り向いた先には、先ほどのパレードに出演していたジャンボバルーンのネズミ。
ぬぉぉぉと木より高いバルーンが逆光で、顔に濃い陰影を指して迫ってくる。怖い。
まさか昼間メスでやられた彼女の仇!?とありえない思考に走りかけたところ、バルーンの上に頭の弱そうな連中が顔を出した。
「探したぞー! 探したぞーーー!Dr ジャッカル!!よくもよくもクリスマスにディズニーまで出稼ぎに出ていた健気な兄弟をぉぉぉ!!この人でなしがぁぁぁ!!制裁を受けよぉぉぉぉぉ!!」
「・・・あんた、何やったの?」
「ちょっと殺って、バラして、きぐるみに入れておいただけですよv」
「猟奇殺人ーーーー!? あんたさっき良いことしたって、言ってたじゃない!!」
「ええ、ですから――」
ニッコリ。
「自分に都合の‘良いこと‘です」
「死ねぇぇぇぇーーーー!この万年永久・社会不適合男がーーー!!!!!」
卑弥呼は爆炎香を放とうとした。
「と、言うのは嘘です」
「今日こそ息の根っ・・・えっ??」
どういうこと?
赤屍を問いただす前に、卍兄弟が答える。
「よくも我が兄弟にあんな格好をぉぉ!!兄弟に対する辱め、侮辱許すまじぃぃぃ!!」
「あんな格好って・・・」
何よ?
突っ込もうとした瞬間。視界にバルーンの下、影にゆらゆらとよろけ立つ人影――ジャングルクルーズでバイトしていたあの卍兄弟が入った。
その姿――ネズミの彼女の耳(りぼんつき)。リスの赤い鼻。ダックのくちばし。白○姫のドレス。黄色のクマのしっぽ。Sデレラのガラスの靴。
――ディズニーコス。。
しかも激烈にちぐはぐな・・・。
「・・・あんた。あんな事したの?」
「ええクリスマスプレゼントです。今日は特別な日ですからね。たくさん買ってさしあげたんですよvねぇ‘良いこと‘でしょう?」
「殺ってなかったのは良い。あんたにしては上出来。だけど――」
毎回、面倒事持ってくるんじゃなわよぉぉぉぉーーーーーーーーーー!!
炎が立ち上り、軽やかにメスが飛んだ。
卍兄弟も遅れをとるなと参戦する。
Mrノーブレーキの予感は半ばあたった。
ここに、卍兄弟・レディポイズン連合 VS Drジャッカル というレアバトルの火蓋は切って落とされたのである。
〜クリスタルパレス・レストラン〜
日が落ちて、イルミネーションが輝き、TDLも夜の姿に変わった。
レストランも賑わい、カップルがいちゃいちやラブラブと語らないながら食事をしている。我が世界の彼らは、まるで鋭利な刃物に切られたように、少し服が裂けている色黒美少女と、ほんの少し服が焦げている長髪美形など気にとめていない。
――Sデレラ城バトルは、わらわらと集まってきた客に我に返った卑弥呼が、忘却香を瓶ごとなげて終結した。
まったく。この男とまともな社会生活を送ろうとしたら、どれだけの忘却香が必要なのだろう・・・。
「先ほどのショーは、実に楽しかったですねv」
「どこがっ!?あんたもう一度その口開いてみなさいよ。爆炎香つっこんであげるから」
爆炎香をポーチから取り出してかまえようとした時、ウェイターが「お客様!」と声を張り上げた。
思わずポイズン・バヒュームを見咎められたのかと肩をすくめたが、ウェイターは微笑みながら客全体に声をかけた。
「お客様。花火が始まります。ご都合が宜しければ外へどうぞ!花火が見える場所へご案内致します」
〜ボン・ヴォヤージュ前〜
卑弥呼と赤屍は射的の景品の袋(結局返していない)を背負って帰っている。
「ねぇ、赤屍?」
「はい?」
「花火。綺麗だったわよね?」
「ええ。うっとりしましたv」
「のわりには、あんた勢いよくスパゲティ食いながら見てたけどね・・・」
でもそうか。あの花火を綺麗だと感じたのか。やっぱり赤屍も綺麗なものを素直に綺麗だと感じられる、同じ人間なんだと安心する。
それに同じものを見て、同じことを思うのも悪くは無い。少し、こそばゆい気がする。
やっぱり来て良かったのかもしれない。花火のフィナーレを思い出しながら思う。
「荷物、重そうですね?持ちましょうか。」
「いいわよ。それに・・・」
あんたそれ以上荷物持ったら、まるっきり不審者。夜逃げみたいよ。
笑いながら言おうとした言葉を、「サンタさん!」と突然割って入ってきた言葉に遮られる。
「「?」」
いつのまにか、赤屍のコートの端を子供が掴んで、キラキラした眼差しを赤屍に向けている。
「サンタさんでしょう? プレゼントちょうだい!」
これはもしや――・・・いや、もしかしなくても、この景品が入った白い袋を、サンタの袋だと間違えている?
どうするのか。と思うより先に赤屍は袋から、黄色いクマのぬいぐるみを子供に渡した。
「Merry Xmas!」
ポンッと子供の顔を撫でてニッコリ笑う。子供も「メリークリスマス!」と明るい表情で去っていた。
「・・・良いとこあるじゃない」
卑弥呼が柔らかな笑みを浮かべた。しかしそれは長く続かない。
「サンタさん!?」
「あそこにいるの、サンタさんだって!」
「「「ぼく(わたし)にもちょうだい!!」」」
周りにいた子供たちが集まってきて、2人はたちまち囲まれてしまった。
「わたしミ○ー!」
「おれはダックー!!」
子供たちは餌に群れる鳩よろしく、卑弥呼のコートを掴んでせがんでくる。卑弥呼はコートを破られてはたまらないと慌てて景品を渡していく。
「いやだー!わたしチャップがイイーー!!」
ったく最近のガキは・・・。
きゃんきゃんとプレゼントをねだって来る子供達をさばきながら、親は止めないのかと辺りを見回す。
親達は苦笑しながらこちらを見ていた。その顔にはそのサンタさんは、実はただの通行人だとわかっているけど、貰えるものなら貰っときなさいよ。という考えがありありと浮かんでいる。
いい根性だ。わからなくもないが。。
段々と煩わしくなってきて、最初に景品を渡した赤屍が恨めしく思えてきた。
赤屍を見ると、子供に景品ではなく、土産用(赤屍は自分用に買っている)の袋の中をせびられていた。
「サンタさん。ぼくそっちのふくろのがイイ!」
「これはサンタさんの食料だから駄目です。」
まったくこの男は。そういうところだけ、しっかりしているというか、なんというか。。
「・・・さて、これで終わりですかね」
「まいったわ。まさかこんな所で運び屋の仕事だなんてね」
「子供達ににサンタからのプレゼントを、ですか。報酬は頂けないでしょうねぇ」
そうね。と頷くと、どっと全快でもみくちゃにされた疲れを感じた。
「ところで卑弥呼さん」
気だるげに「何よ」と答える。
赤屍は薄く笑いながら袋から何か取り出す。
「こんなものはお好きですか?」
――ティンカーベルのネックレス。
「景品の中から取っておいたんです。クリスマスプレゼントにちょうど良いかと思いまして」
「・・・・・・・。」
「お気に召しませんで?」
「違うわ。嘘が嫌いなだけ。こんなの景品の中になかったわ。――あんたいなくなった時に、これを買いに行っていた訳ね」
「おや、バレましたか」
照れ隠しでふん!と息をついてからプレゼントを受け取ろうとすると、赤屍が笑って止める。
「後ろを向いてください」
赤屍は、卑弥呼の首にネックレスを器用な手つきでつける。
「ああやっぱり金の方がお似合いですね。銀とどちらにしようか迷ったのですが、正解でしたv」
卑弥呼は今回こそ隠し切れずに、かぁぁっと頬が朱に染める。乱暴に持っていた土産の袋(卑弥呼は馬車宛てに買っていた)の中から箱を取り出す。
「はい!これあたしからのプレゼント」
早口でまくしたてて、押し付けるように渡す。
――クリスマス・ショコラセット。渡してからさらに、頬を赤くする。
「・・・その貰えるとは思わなくて・・・色気も無いし、安物で悪いんだけど・・・」
じいっと貰ったネックレスを見つめる。爪でひっかいても剥がれそうに無い金。アクセントについている赤い石は、それだけで根が張りそうな代物である。
自分の贈ったプレゼントもお菓子としては安くは無いが、貰ったネックレスとは明らかに釣り合いがとれてない。どうしよう、困った。恥ずかしい。。
「いいえ。ありがとうございます。私にはぴったりですv――しかし」
「可愛いですね。卑弥呼さん」
ボンっっと顔を完熟トマトにして、卑弥呼はしゃがみこんで頭を抱える。
クスクスと笑みを漏らして卑弥呼を見つめ、赤屍もしゃがみこむ。
「Merry Christmas Lady Poison!」
死神は、魔女の頬の星の印に、ちゅっと軽く口付けを落とした。

End
つうかこのドリームワールド人いなすぎ(殴・色々やりたかったのです・・・)
射的はホントは10発中10発あたって、やっとメダルが貰えるらしい
ケチくさ闘争心煽るアトラクショん☆(ムリヤリじゃー)
クリスマス三夜連続アップ企画物v
現在では一番のお気に入り作品です。
というわけで一応フリー小説とします(激無意味そうな宣言)
また長い作品なのですが(汗)こんな駄文でもメモリ減らしてお持ち帰りして下さる
慈悲の心と漢気溢れたお方おりましたら(居たら奇跡だ・・・。)一言お声をかけて下さると、涙を流して喜びますvv
フリー配布は2006の八月頃まで、暑中見舞いと差し替え♪
暑中見舞いが無理であることが判明したので、一年間配布します(殴)
お気に召した方。2006年のクリスマスまでお持ち帰りどうぞv