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My prayers
「アンジェラが死んだ」
「私はあの方に、反旗を翻す」
「永遠にウィッチを許さない」
男は眺めていた鏡に突然、その姿を表した。
しかしマリーアの表情が動いたのは、始めと友人とその娘の死を聞かされた時だけだった。
「わかっていたはずよ。こうなることは」
――あの方を守れ。何があっても、君だけはあの方を裏切るな。
運命の結婚の前日。
真摯に言われた言葉は未だに耳に残っている。
「…私だって、貴方を許さないわ」
許せないのは、こうなることをわかっていたながら貴方が後悔しているから。
私の元を去っておきながら、そんな道しか歩もうとしないから
貴方が幸せではないから。
それが一番許せない。
「…それでいい」
「私はあの方から奪ったこの神の記述で、望みを叶える。次に出会った時は君とは敵同士になるだろう。それがいつになるかは、わからないが」
「arrivederci、だ。マリーア」
言うだけ言って、男の姿はふっと消えた。
マリーアは不機嫌そうに、ふんっと息をつく。
いつも後ろ姿ばかり見せていた貴方が、やっとこちらを向いたと思ったら、敵同士ですって?
「あんまりじゃない」
こん、と鏡を叩く。
「馬鹿な男」
彼は自分の恨みを晴らすためだけに動ける男ではない。そこまで己を愛せる男では無かった。
古い付き合いであるマリーアには、彼の本当の目的はすぐにわかった。
「…治らないのね。その病的に生真面目でペシミストな所」
誰か一人を憎める男ではない。
彼の目は聡すぎて、罪人の瞳の中に、そうせざるを得ない人の性を見てしまう。
憎しみも、恨みも、絶望で崩れた大地の上では強く根付くことは出来ない。
その大地に降り注ぐのは、哀しみの雨風だけ。
「馬鹿ね」
ずっと、ずっと願っているのに。
そんな貴方の幸せを。
「……馬鹿だわ」
私も。
End

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