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::純情可憐注意報::
たった今、トラックに入ってきた同業者の少女。
その姿に赤屍と馬車の、目が点になった。
「卑弥呼さん。その格好は・・・?」
細かいフリルで埋め尽くされたような、白いブラウス。
ふわふわ、ひらひら。ボリュームたっぷりの乙女スカート。
柄は冗談のような量の花が散らされている。
スカートと同じピンクのカーデガン。
それはそれは。メルヘンの世界から飛び出してきたか、
あるいは「ちょっと貴方、気がふれてるんじゃないですか?」
と言いたくなるような格好で、魔女は来た。
「…イメチェンか?」
「コスプレですか?」
即座に卑弥呼の飛び蹴りが、赤屍の顔にクリーンヒットした。
「あぁん?」物凄い形相で、少女が凄む。格好に反して、顔が険しすぎる。
怖い。
その上、赤屍が「・・・痛いです」なんてコメントするものだから、馬車の肝はさらに縮んだ。
あの赤屍の顔面に攻撃を食らわせた上に、痛がらせるなんて……
「おっ、落ち着け卑弥呼。何かあったのか?」
後ずさりながら、気を鎮めさせようと慎重に馬車は問う。
ギンッと、凶悪な視線がこちらに向けられる。
その辺のケチなチンピラ風情なら、確実に視殺出来るだろう迫力。
馬車はたじたじになる。卑弥呼はむすっとして口を開く。
「………実は馬車さんから連絡を受けた後、マドカさんのお屋敷にお邪魔してたの。マドカさん今お腹大きいでしょ。しばらくそれを見てた訳。そうしたら急にマドカさんが新しく届いた洋服を着てみてくれないか、自分はお腹が大きくて入らないからって、強引にあたしにこの服を・・・!!しっ、しかもその直後。急にマドカさん産気づいちゃって!お屋敷中ひっくり返って大騒ぎよ。執事さんはお医者さん呼びに行くわ家政婦さんは出産の準備だわで、あたしなんてポイよポイっ!!元々着ていた洋服を自分で探そうもにも、あの屋敷広すぎるのよぉぉーーーー!!!」
「で、その格好のまま来たと?」
「…うっ。こんな格好で外に出るなんて、あたし」
険しかった卑弥呼の表情が、くしゃりと崩れた。
「もう、あたしお嫁にいけな――――い!!!」
「「(その思考はオカシイと思う……)」」
男2人の一致した意見だったが、卑弥呼のただならぬ様子にどちらもツッコめない。
とりあえず、赤屍は慰めてみることにした。
「大丈夫ですよ卑弥呼さん。貴女は以前、絶対結婚なんかしないと宣言していたじゃないですか。気に病む必要なんてどこにも無い。」
慰めになっていない。
「馬鹿ぁぁあ―――――!!」
卑弥呼は手をあげた。赤屍は頬を打たれた。馬車は額に手を当てた。
びぇえん。
大きな泣き声がトラック内に響く。
グズグス。しくしく……、
しばらく泣いていた卑弥呼が、突然すくりと立ち上がる
「脱ぐ」
カーデガンを脱ぎ捨て、ブラウスに手をかける。
「……こんな格好で仕事するくらいなら、素っ裸の方がマシよ!!!」
「早まるなぁぁ!!卑弥呼ぉぉぉ!!!!」
服を脱ごうとする卑弥呼を、馬車が必死に抑えつける。
「いくらなんでも、若い女子が素っ裸はマズいじゃろうて」
「じゃあ、脱いだ後赤屍の無駄に長いコートでも借りるわ!!!」
「…私はかまいませんが」
ちらりと赤屍が馬車を見る。
うっ、と馬車が言葉に詰まる。
素肌に赤屍のコート?
立派な女露出狂の完成だ。
「ひっ、卑弥呼。今日の所は帰ったらどうだ?」
「そうですよ。仕事なら私達だけで十分…」
「そんな理由で仕事キャンセルだなんて、運び屋としてのプライドが許さな―い!!」
もっとも安全かつ常識的な提案は、あっさり却下されてしまった――
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その日は、裏社会の伝説となった。
ピンクハウス・レディポイズン。
その姿を見た者には催眠香と忘却香(濃度○○○%。24時間どころか一週間の記憶デリート効果)のミックスブレンド。
その姿を見て笑った者には蟲滅香。
華麗にして凶悪。所行は修羅。
男にとって、赤死香に匹敵する恐怖の毒水香、蟲滅香
それが大量散布したその日の事は後々まで語り継がれ、一つの教訓が刻まれた。
『スカートを穿いたレディポイズンと目を合わすべからず』
ちなみにその日は、音羽家で可愛らしい双子の姉妹が誕生した日でもあった。
End
この屍は、まるでパンチングマシーン代わりのようですね☆
(酷)


06.10.15
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